ゆっくり人生

不登校や引きこもりを経験しながら、現在は研究者の登竜門的存在である日本学術振興会 特別研究員(DC1)を務める大学院生のブログ

【博士課程】博士号はどのように取得を目指すのか?

 

どうも、ユモクです。

 

僕の在籍する博士課程ですが、その名の通り博士号の取得を目指す課程です。

博士号は、学士号(学部卒業)や修士号(修士修了)のように授業を受けて単位を取得し、卒業論文や修士論文を執筆するだけでは取得できません(卒論に関しては卒業要件とならない学部もありますが)。

そのことが端的にまとまっている記事が検索しても意外と見つからなかったので、この記事では博士号の取得の仕方についてをまとめたいと思います。

博士課程への進学を考えている人・迷っている人は是非ご覧ください。

 

 

 

博士号には大きく分けて「課程博士」と「論文博士」が存在する 

まず、博士号には「課程博士」と呼ばれるものと「論文博士」と呼ばれるものの二つがあります。

 

課程博士について

「課程博士」はその名の通り、大学院の博士課程に在籍して取得するものです。

基本的には3年間以上をかけて博士課程に在籍しながら博士号の取得を目指します。

ただし、近年の博士課程を取得したいと考える人の立場は多様です。

学部→修士の流れからそのまま進学する人だけでなく、企業に勤める社会人から既に研究者として働いているけど博士号は取得していないので取得したいと考える人までいます。

そのため、標準年数の3年という標準修了年数は別な仕事を持つ社会人にとっては短く既に業績を重ねている研究者にとっては長いものとなります。

そのため、博士課程の門戸を広げるために、長期履修履修制度という入学時点から6年間など標準年数より長い時間かけて博士号を目指すプログラムを用意していたり、逆に早期履修制度として3年より短い年数での修了を認めるプログラムもあります。

ほとんどの大学院では学部→修士→博士という流れで博士課程にたどり着く人の割合が多いでしょうけど、多様なニーズに応えるために大学院もこのように様々なプログラムを用意しているところが多いです。

 

論文博士について

 「論文博士」は、博士課程に在籍することなく博士論文を仕上げ大学院に提出し、それが認められれば博士号が授与されるというものです。

これは既に社会に出ている研究者にピンポイントでニーズのあるものです。

後述するように「課程博士」は修了のために論文掲載などの要件も必要となりますが、「論文博士」は「課程博士」以上に研究業績の積み重ねがなければ授与されません

しかし、近年は縮小傾向にある制度です。

そのためこの記事では詳しく取り上げず、「課程博士」の取得のフローチャートをまとめていきたいと思います。

 

 

「課程博士」の取得に必要な要件

課程博士が授与されるには、定められた単位の取得一定水準以上の研究業績博士論文審査のパスの三つの要件があります。

 

単位の取得

博士課程でも単位を取得する必要があります。

しかし、博士課程の必要単位数に関しては領域や大学院ごとに差異があるようで、学部や修士課程のように講義や演習・実験の授業を受けて単位を重ねる必要のあるところもあれば、自分の研究を進めて論文さえ書いていればほぼ大丈夫という大学院もあるようようです。

授業は非常に専門性の高いものとなり、自分の研究に直接関係なくとも、その土台となったり将来研究者になるにあたって必要な知識であったりするので、興味を持って授業を受けられるのではないかと思います。

「必要単位数で大学院を決めよう」みたいな発想は必要ないでしょう

 

研究業績

学部・修士課程と大きく異なるのが、博士号の取得には研究業績の要件があることでしょう。これが博士課程学生を非常に悩ませるものです。

論文掲載◯本、うち査読付き論文□本のように定められています。

 (注:査読付き論文:査読(審査)を経て合格し掲載された論文のこと)

領域によって研究業績の積み重ねやすさは大きく異なるので、「どの程度の研究業績があれば博士号が取得できる」ということを一口に説明することはできません

また、研究業績の水準は大学院(研究科)が定めていますが、その水準に加え専攻・コースや指導教員によってさらに厳しい水準が定められている場合もあります。

その場合、満たすべきはもちろん後者の水準となります

 

例)研究科(大学院)の定める水準:論文掲載3本(うち全国規模以上の査読付き論文1本)

  専攻・コースが定める水準:論文掲載3本(うち全国規模以上の査読付き論文2本)

 

上述のように、査読付き論文でも学会の規模の大きさ(国際>全国>地方)により格付けのようなものが存在します

国際的な学会ほど掲載されるのが難しく、地方学会の方が簡単と考える人もいます。

しかし、地方学会の中にも審査が厳しいところがあったり、逆に全国学会でも審査が緩いところがあったりと一概には言えません。

ただし、地方学会より全国学会、さらに国際学会の方が影響力が大きいと言えるのは事実でしょうから、このように学会の規模により査読付き論文の評価が変わるのは妥当であるとも言えます。

(ただし、「日本〇〇学会」と全国学会を名乗りつつ、知名度の低い学会も数多くありますが…)

 

博士論文審査

博士論文には書き上がってからの審査だけではなく、執筆の資格があるかの審査中間審査などが定められています。

うちの大学院(研究科)の場合はむしろ、最終審査より執筆資格審査や中間審査の方がハードルが高いと言われています。

特に執筆資格審査の段階だと、博士論文の内容だけでなく、研究業績の要件を満たしているか(または満たす見込みが立っているか)も厳しく見られますからね。

ただし、私の周りの先輩は、審査が通るかどうかを自分の研究進捗状況や教員とのやりとりから見極めて審査を出すか出さないか決める人が多いです。

そのため実際に審査に落ちた人は知らないのですが、「審査に通らないだろうから出さない」という人は結構います。

これらの審査は専攻やコースといった単位の教員で精査され、その後教授会で承認にかけられるという流れで行われます。

よほどのことがない限り教授会で弾かれるということはないので、 自分の博士論文の審査にかかわる教員の指摘は真摯に受け止めながら研究を進めて博士論文の完成を目指しましょう。

 

 

博士号取得難易度の現在

以上の要件を満たすことで、博士号は取得できます。

最後に、「博士号の取得って実際はどれくらい難しいの?」というところに触れたいと思います。

書籍などの著者経歴を見れば気づくと思いますが、昔の研究者(今は年配と言える研究者)の時代は博士号を取得することが当たり前の時代ではなく、「博士課程単位取得満期退学」という人が多いです。

博士課程に在籍しておいて、どこか入れそうなポストが見つかったら博士号を取得せずにそこに就職して研究者となるという人が多かったようです。

現在でもこのような人はいますが、かなり少数派ですね。

博士号取得難易度は高く、博士号がなくとも就職できた時代でした。

しかし現在は、研究者として大学に就職するためには博士号の取得が求められるようになってきました。

その影響もあってか、博士号取得は昔よりは簡単になったと言う人もいます。

僕はまだ博士課程学生ですし、昔の状況と今の状況を正確に比較することはできないので簡単になったかどうかを判定することはできません。

また、実際に博士論文を執筆する先輩の姿を見ていると、「簡単に取得できる」とは言えません

夜遅くまで残って研究したり、先生方の指摘への対応に悩む姿は本当に大変そうですからね。

昔と比較して取得難易度がどうなっているかについて断定的なことは言えませんが、博士号を取得するのには大変な労力が必要ということは事実だと思います。

「博士課程の進学にはあらゆる面で相当な覚悟が必要」ということは理解しておくべきでしょう。

 

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